東京地判令和5年(ワ)70083【スライドファスナー用スライダーの胴体】<澁谷裁判長>
更新日:3 時間前
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分類:意匠
論点:域外適用 / 共同不法行為
HP掲載日:2026-09-29
記事見出しの事件番号:令和5年(ワ)70083
東京地判令和5年(ワ)70083【スライドファスナー用スライダーの胴体】<澁谷裁判長>
【論点①】国外で製造販売された部品(スライダー)が、最終製品(バッグ等)に組み込まれて日本国内で流通した場合、部品メーカーは日本の意匠権侵害の共同不法行為等の責任を負うか。
⇒負わない。
製造販売が国外で行われた以上、属地主義の原則により日本の意匠権の効力は及ばない。
【論点②】展示会において、意匠権に係る部品(スライダー)が組み込まれた最終製品を展示する行為は、当該部品の「譲渡のための展示」に該当するか。
⇒本件では、該当しない。
当該展示が他の部品(ファスナーのエレメントやテープ)の販売促進を目的とする参考展示にすぎない場合、スライダー自体の販売を目的とした展示とは認められない。
(判旨抜粋)
①
被告らにおけるスライダー等の製品の製造は、中国など日本国外において行われており、その販売も日本国外の縫製工場や商社に対するものであって、日本国内における製造、販売があるとは認められないところ、被告らが日本国外において製造、販売したスライダーがどのような製品に用いられ、どの地域で流通するのかなど、それ以降の商流については本件における全証拠によっても不明といわざるを得ない。・・・
そうすると、仮に被告らの製造、販売するスライダーの意匠が本件意匠に類似するものであることが認められたとしても、当該販売行為自体は日本国外で行われているものであるから、意匠権についての属地主義の原則に照らし、本件意匠権の効力は被告らによる上記販売行為には及ばず、本件意匠権を侵害するものとは認められない。・・・
このような場合にまで被告らが共同不法行為責任を負うとすれば、日本国の意匠権の効力が及ばない国外での行為であるにもかかわらず、当該行為の結果が日本国内での侵害行為に何らかの形で結び付きさえすれば、当該行為者に対し、同人の侵害行為に対する関与や認識の程度に関係なく責任を負わせることとなり、実質的に見て、日本国外の行為にまで無限定に日本国の意匠権の効力を及ぼすこととなることから、属地主義の原則を没却するものといえ、失当といわざるを得ない。
②
当該バッグや財布は、エレメントやテープの販売促進のために、これらの商品が採用された製品の一例として、参考に展示されていたものであって、スライダーに関しては、本件展示ブースにおいて販売又は販売を目的とした展示が行われたものではないと認めるのが相当である。・・・
意匠法2条2項1号が規定する意匠の実施としての譲渡のための展示には、展示だけを目的とする行為は含まれないから、仮に上記バッグや財布に付されたスライダーの意匠が本件意匠に類似するものであったとしても、当該スライダーに関し、意匠の実施に該当する譲渡のための展示があったと認めることはできない。
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