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論点別ガイド:損害賠償・権利行使
損害賠償、差止請求、侵害立証など、権利行使に関する記事を案内する。法分野と事案により検討事項は異なるため、各記事の本文と出典を参照されたい。
【論稿/特許】意匠法における創作者の認定(藤本一、パテント誌2024年10月)
【論稿/特許】意匠法における創作者の認定(藤本一、パテント誌2024年10月) 裁判例の傾向として、口頭の供述だけで創作者性を覆すことは極めて難しく、図面や業務日報などの客観的な証拠が不可欠である。 創作者の認定は、典型的には、❶係争対象意匠の意匠に係る物品の性質、用途、使用態様、公知意匠にはない新規な創作部分の存否等を参酌して、取引者・需要者の最も注意を惹きやすい創作的特徴を把握し、❷創作者であると主張する者が当該創作的特徴の創作的な作出を行ったといえるか、というステップで行われる。 <東京高判平1(行ケ)162【送電線用引留クランプ】事件> 製造委託者が提出した図面に基づき冒認を肯定した。差異が微差であれば、図面作成者が創作者と認められる。 <大阪地判平27(ワ)8271【物干し器】事件> 没案に関与しただけでは創作者に当たらない。 <知財高判令5(行ケ)10008【瓦】事件> 特徴的部分(厚みの指示など)が「アイデアの提示」に過ぎない場合、具体的な寸法を指示していても創作者性は否定された。 https://lnkd.in/gSBw
【論稿/意匠】意匠の新規性喪失の例外適用手続の緩和(笹野拓馬、森有希、パテント誌2025年4月)
【論稿/意匠】意匠の新規性喪失の例外適用手続の緩和(笹野拓馬、森有希、パテント誌2025年4月) 1.法改正の背景 <従来の課題>出願から30日以内に全ての公開事実を把握・証明することが困難。わずかな証明漏れにより、自らの公開意匠が原因で拒絶されるケースが散見された。 <改正の概要>最先の日に行われた一の公開行為を証明すれば、その後の同一・類似意匠の公開は証明不要。 2.審査基準の主な改訂ポイント ①証明対象となる公開意匠の認定 「証明する書面」には公開意匠の写真貼付欄が新設された。実務上の運用として、写真に意匠の全容が映っていなくても、文章等から「展示会で公開されたその物品全体」が客観的に把握できれば、公開意匠として認定される余地がある。 ②「最先の日」の定義 「時分(何時何分)」単位の先後は問わず、同じ「日」に複数の公開があった場合は、そのうちのいずれか一の行為を証明すれば足りる。 ③物品の一部・部品の扱い 「自転車」の公開を証明すれば、その構成部品である「サドル」や「フレーム」が分離して識別可能であれば、それらについても証明され
【論稿/意匠】部分意匠と全体意匠の類否判断の境界(意匠委員会、パテント誌2025年4月)
【論稿/意匠】部分意匠と全体意匠の類否判断の境界(意匠委員会、パテント誌2025年4月) 1.全体意匠と部分意匠が類似すると判断されるための4要件(意匠審査基準) ①用途・機能の共通性: 両意匠の物品等の用途・機能が同一または類似であること。 ②部分と全体の対応: 全体意匠の用途・機能と、部分意匠の「クレイム部分」の用途・機能が同一または類似であること。 ③位置・大きさ・範囲: クレイム部分の位置、大きさ、範囲が、当該分野においてありふれた範囲内であること。 ④形状等の類否: 全体意匠の形状等と、部分意匠の「クレイム部分」の形状等が同一または類似であること。 2.類否判断の傾向(3パターン) (1) クレイム範囲が広い事例 審査基準の「額縁」に近い類型である。 (2) 「要部」の有無が類否を分けた事例 単純な面積比率よりも、創作的特徴が含まれているかが重視される。 (3) 類否が緩やかに判断された事例(クレイム範囲が比較的狭い) ①食品包装用トレー:クレイム範囲が約6割であっても、ディスクレイムされた中央部分は「食品を載せると見えな
【意匠】知財高判令和6年(ネ)10086【収納容器】<清水響裁判長>
【意匠】知財高判令和6年(ネ)10086【収納容器】<清水響裁判長> *非類似(意匠権者逆転敗訴) <要部認定> 原告意匠の構成態様は、個々にみればいずれも公知意匠に存在するが、これらを全て備えた公知意匠は見当たらないことから、組合せによる統一的美観に新規な創作性が認められる。 <差異点(上辺の形状が曲線か水平直線か)の評価> 需要者は収納容器をインテリアの一部としても使用し、斜め上方からの外観を重視する。 斜め上方から見た場合、上辺の曲線形状はむしろ認識しやすい。 上辺の形状は「器」の外形的特徴を示すものとして需要者の注意を強く惹く部分であり、美感に与える影響は大きい。 原告意匠は曲線的な上辺により全体として自然で柔らかみのある印象を与えるのに対し、被告意匠は上辺が水平直線であることにより一部が平板で、異なる美感を生じさせる。 https://lnkd.in/gATHH8Pj https://lnkd.in/gyjxS4mW hanrei-pdf-94249.pdf — courts.go.jp LinkedIn原文:https://
【意匠】令和6年(行ケ)10108【包装用容器/部分意匠】<増田裁判長>
【意匠】令和6年(行ケ)10108【包装用容器/部分意匠】<増田裁判長> ★部分意匠と全体意匠の関連意匠登録の可否と、新規性判断における対比範囲の相違を明確にした判決!! <本意匠との対比(関連意匠・10条1項)> 本願意匠はフランジ部分のみの部分意匠であるのに対し、本意匠は収納容器全体の全体意匠であるから、用途・機能・位置・大きさ・範囲及び形状等において大きく異なり、類似しない。 ⇒関連意匠として登録を受けられない。 <引用意匠との対比(新規性・3条1項3号)> 関連意匠として登録を受けられない以上、本件登録意匠は10条2項の適用を受けず、引用意匠から除外されない。 ⇒本願部分と引用意匠中の相当部分はフランジ部の特徴的態様において共通し、類似する。 ※全体意匠と部分意匠を対比する場合、関連意匠の類否判断(全体と部分を対比)と新規性の類否判断(引用意匠の相当部分と対比)では対比範囲が異なるのであって、判断が相違することは何ら不当ではないと判断した。 https://lnkd.in/gcYzUTgk https://lnkd.in/g6jgFH
東京地判令和5年(ワ)70083【スライドファスナー用スライダーの胴体】<澁谷裁判長>
東京地判令和5年(ワ)70083【スライドファスナー用スライダーの胴体】<澁谷裁判長> 【論点①】国外で製造販売された部品(スライダー)が、最終製品(バッグ等)に組み込まれて日本国内で流通した場合、部品メーカーは日本の意匠権侵害の共同不法行為等の責任を負うか。 ⇒負わない。 製造販売が国外で行われた以上、属地主義の原則により日本の意匠権の効力は及ばない。 【論点②】展示会において、意匠権に係る部品(スライダー)が組み込まれた最終製品を展示する行為は、当該部品の「譲渡のための展示」に該当するか。 ⇒本件では、該当しない。 当該展示が他の部品(ファスナーのエレメントやテープ)の販売促進を目的とする参考展示にすぎない場合、スライダー自体の販売を目的とした展示とは認められない。 (判旨抜粋) ① 被告らにおけるスライダー等の製品の製造は、中国など日本国外において行われており、その販売も日本国外の縫製工場や商社に対するものであって、日本国内における製造、販売があるとは認められないところ、被告らが日本国外において製造、販売したスライダーがどのような製
法情報提供(2026年1月掲載分)
法情報提供(2026年1月掲載分) 対象:2026年1月に弁護士・高石秀樹(中村合同特許法律事務所)が公開した記事 収録件数:34件 一覧ページ:https://www.nakapat.gr.jp/ja/legal_updates_jp/ <今月の見どころ>2026年1月 知財・法務アップデートの重要ポイント 今月のリーガルアップデートでは、分割出願の連鎖、控訴審での新たな無効理由、明細書の科学的誤り、クレーム解釈、国際裁判管轄、標準必須特許及び職務発明まで、知財実務の広い領域にわたる34件の裁判例・解説を取り上げる。重要な判断と実務上のポイントは、以下のとおりである。 1.分割出願の連鎖を揺るがす【車両誘導システム】事件<本多裁判長> 知財高判令和6年(行ケ)10086【車両誘導システム】事件は、第4世代当初明細書等で必要不可欠であった、ETCを利用できない車両を分岐レーンで戻し、その対象を通信可否により判定する構成に注目した。これを限定せず任意の基準・方法による誘導まで含めた第5世代分割出願は、新たな技術的事項を導入したものと判断された。その