【論稿/特許】訴訟中の被侵害請求項の追加ー訴訟物・時機に後れた攻撃防御方法ー(森本晃生、パテント誌2024年11月)
更新日:6 分前
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記事の種類:論文・論稿紹介
表示・分類の確認日:2026年9月30日
分類:特許
論点:訴訟手続
HP掲載日:2026-09-29
【論稿/特許】訴訟中の被侵害請求項の追加ー訴訟物・時機に後れた攻撃防御方法ー(森本晃生、パテント誌2024年11月)
知財高裁は、請求項の追加主張を「訴えの変更(民事訴訟法143条)」と捉えた原審(大阪地判)の判断を覆し、「攻撃防御方法の提出(同法157条)」に該当すると判断した。
その理由は、特許法が一つの特許出願に対して一つの特許権を付与する基本構造を前提としている点にある。
ある特許権の侵害を理由とする請求において、いずれの請求項を選択するかは、特定の訴訟物(請求権)を支えるための攻撃方法の選択の問題である。
⇒同一特許の別の請求項を追加しても、訴訟物や請求原因の変更には当たらない。
ただし、本件の追加主張については、「時機に後れた攻撃防御方法」として却下した。
(理由1)提出時期の遅延:被告から均等論に関する具体的な反論が早期に出されており、対抗手段としての請求項追加を検討することは十分に可能であった。それにもかかわらず、裁判所からの心証開示(非充足)を受けた後、かつ自ら補充的書面提出のみを予定すると述べた後に突然追加された。
(理由2)故意・重過失:当初から特許に含まれていた請求項を適時に攻撃方法に加えることができなかった特段の事情(外国文献のサーチや訂正の再抗弁など)は認められない。
(理由3)訴訟完結の遅延:追加された請求項についてはそれまで全く審理されておらず、これを許せば新たなクレーム解釈や製品特定に関する求釈明等の審理に相当な期間を要し、訴訟の完結を著しく遅延させる。
<実務上の意義>
本知財高判により、同一特許の別請求項に基づく主張は同一の訴訟物を構成することが明確化された。
この構成によれば、後訴で別の請求項を主張しようとしても、既判力による遮断、あるいは二重起訴の禁止や信義則違反によって封じられる可能性が高い。
特許権者としては、侵害論の心証開示がなされる前の早期の段階で、主張可能な請求項を全て網羅的に主張しておくことが不可欠である。
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