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論点別ガイド:進歩性
進歩性、設計事項、動機付け・阻害要因に関する既存の記事を案内する。判決紹介、論稿紹介、講演資料を含む。各記事の本文と出典を参照されたい。
東京地判令和7年(ワ)70141【不活化ワクチン製剤】<中島裁判長>
東京地判令和7年(ワ)70141【不活化ワクチン製剤】<中島裁判長> *サポート要件違反(+進歩性欠如) 「血清型が非KG-型かつ非KG+型のラクトコッカス・ガルビエ」には、2021年以降に観察された「Ⅲ型」のラクトコッカス・ガルビエも含まれる。 ⇒本件明細書にはⅢ型を原因菌とするレンサ球菌症に対するワクチン製剤の開示は一切なく、Ⅲ型の不活化ワクチンはⅡ型を起因菌とするレンサ球菌症には効果がない。 特許権者は、本件発明の「非KG-型かつ非KG+型」はⅡ型のみを意味すると主張したが、優先日当時、Ⅱ型もⅢ型も分類として認識されていなかったのであるから、Ⅱ型を意味すると理解されていたとする前提を欠くとして退けた。 https://lnkd.in/gtJf3kka https://lnkd.in/gdThyj4j hanrei-pdf-95718.pdf — courts.go.jp LinkedIn原文:https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:share:7510498163259129856/
【知財実務オンライン】『進歩性の論点20個を一つ3分で総ざらい』(著者一同、監修=高石秀樹)
【知財実務オンライン】『進歩性の論点20個を一つ3分で総ざらい』(著者一同、監修=高石秀樹) 【本文要約/判決紹介省略】 「進歩性の全て」の著者陣による担当箇所の説明に付された、高石のコメントの要約である。 1.判断フロー:組合せの動機付けと設計事項は独立した論理であり、個別に検討する。有利不利は事案による。相違点と課題解決の相関が乏しいと設計事項とされやすい。動機付け・阻害要因を争う一方、別ルートとして設計事項を主張することも多い。 2.引用発明の適格性:補足コメントなし。 3.引用発明の認定:審決取消事由として認められることが多い最重要点である。特許庁が審査・審判の論理に合わせて上位概念化した認定には、常に反論の余地を検討する。 4.上位概念化:課題と相関する構成は自由に捨象できない。C1をCに広げると課題を解決しないものまで含むなら、C1は捨象できない。構成の抽象化と課題の抽象化を分けて考える。 5.内在特性 平成30年頃には、内在特性を当業者が認識できなかったことを理由に進歩性を肯定する裁判例が比較的多かった。令和3年から令和6年頃は、
【論稿/特許】進歩性判断における設計事項についての調査(鈴木守、長嶺浩之、パテント誌2024年9月)
【論稿/特許】進歩性判断における設計事項についての調査(鈴木守、長嶺浩之、パテント誌2024年9月) 「設計事項」の認定基準、特に直接的な証拠(副引例)を示すことなく進歩性を否定できる条件を、装置・システム分野の裁判例に基づき調査した。 実務上、証拠を伴わずに設計事項が認められた裁判例は以下の3類型に集約される。 ①数値範囲の限定:明細書に数値限定の根拠や技術的意義(臨界的意義)が記載されておらず、単に公知技術の具体的適用に伴う最適化とみなされる場合。 ②複数と単数の違い:機能を1つの構成で行うか、分割して複数の構成で行うかの選択であり、全体としての機能や技術的意義に変化がない場合。 ③限られた選択肢:可変式か固定式かといった二択や、極めて少数の組み合わせの中から最適な配置を選択するにすぎない場合。 ●平成29年(行ケ)10146【導光フィルム】<高部> 『本願発明の「接着部分」の形状に関する上記①ないし③の数値範囲に臨界的な技術的意義が認められないことからすれば、引用発明の集光シートの凸部の頂部に、引用例2記載技術の凸部に設けた突起状
【論稿/特許】進歩性判断のダブルスタンダード(高石秀樹、パテント誌2024年6月)
【論稿/特許】進歩性判断のダブルスタンダード(高石秀樹、パテント誌2024年6月) 『設計事項』の分水嶺 相違点に係る構成が「発明の課題」と相関し、その技術的意義が明細書に開示されているか否かが、容易想到性を分ける決定的な境界線となっている。 数値限定やパラメータ発明において、相違点が単なる設計事項として片付けられるか、あるいは進歩性が認められるかは、その数値限定やパラメータが「本件発明の課題解決」にどう寄与するかに依存する。 ①進歩性を肯定するロジック: 発明の課題が非公知であるか、あるいは課題解決とパラメータが強く相関している。 『知財高判令和2年(行ケ)10044【…】<大鷹>』 『知財高判平成31年(行ケ)10011【…】<高部>』 ②進歩性を否定するロジック(設計事項): 明細書に技術的意義(課題との相関)の記載がなく、当業者が適宜選択可能と判断される。 『知財高判令和3年(行ケ)10091【粘着テープ】<本多>』 『知財高判令和4年(行ケ)10111【車両ドアのベルトラインモール】<本多>』 出願時の当初明細書には、単
【論稿/特許】不純物クレームの特許性についての検討(松岡徹、パテント誌2024年7月)
【論稿/特許】不純物クレームの特許性についての検討(松岡徹、パテント誌2024年7月) 公知の物質に対して不純物量のみを数値限定したクレームが、どのような条件で「進歩性」と「サポート要件」を満たすのか? 1.進歩性の判断:従来法の「限界」が鍵 不純物を低減すること自体は多くの場合「自明な課題」とみなされる。そのため、進歩性の成否は「その数値が従来の手法の延長線上で達成可能か」による。 進歩性×: 従来公知の精製方法(再結晶、カラム等)の最適化や繰り返しによって、その不純物量まで低減できる蓋然性が高い場合(例:平成24年(ネ)10057【プラバスタチンナトリウム】事件)。 進歩性〇: 従来法を繰り返しても物理的な限界等により達成不可能であり、新たな製造・精製手法を見出すことで初めて達成できた場合(例:平成20年(行ケ)10430【アカルボース事件』)。 2.サポート要件:課題の認定がキーポイント 原則: 「不純物の低減」が課題である場合、その解決手段は具体的な「製造方法」に依存する。この場合、製造方法を限定しない「物のクレーム」は、開示さ
令和7年(行ケ)10056【女性用衣料】<森冨裁判長>
令和7年(行ケ)10056【女性用衣料】<森冨裁判長> *進歩性〇 甲1発明(昔のスポーツブラ)の乳房支持フラップを乳房係合ポケットにオーバーフィットする構成は、本件発明の課題(一つの製品で様々なバストの形やサイズ、補正ニーズに対応できる)とは異なる、甲1発明の課題(ジョギングなどの運動中に、胸が揺れて痛むのを防ぐこと)を解決するためのものである。 本件発明1の出願当時、乳房支持フラップの締め付け位置をバスト下部にし、バスト下部を覆う構成に変更する動機付けがあったということはできない。 +このような構成に変更した場合、乳房支持フラップが乳房を締め付け、これに対して内向きの圧力を提供する範囲が減少し、運動に従事する女性の乳房の過度の動きを防止するという課題を解決することができなくなるのであるから、阻害要因がある。 https://lnkd.in/gY5jz9bD https://lnkd.in/guzTZMdd hanrei-pdf-95353.pdf — courts.go.jp LinkedIn原文:https://www.linkedi
【知財実務オンライン】「特許裁判例事典第4版」(知財塾)で新たに掲載した重要特許判決紹介(中村合同特許法律事務所、高石秀樹)
【知財実務オンライン】「特許裁判例事典第4版」(知財塾)で新たに掲載した重要特許判決紹介(中村合同特許法律事務所、高石秀樹) 1 動画全体の中心的メッセージ 明細書における「発明の課題」の設定が、サポート要件、実施可能要件、進歩性、新規事項追加、クレーム解釈及び充足論の全てに影響する。 したがって、単に分かりやすい日本語を書くという話ではなく、 • サポート要件を満たしやすくする • 引用発明との動機付けを否定しやすくする • 分割・補正の自由度を残す • 将来の被疑侵害品をクレームに取り込みやすくする • 不要な限定解釈を避ける という各目的から逆算して、課題、効果、実施例及びクレーム文言を選択すべきである。 2 実施可能要件・サポート要件(5分56秒以降) • 「~からなる」「~と~から合成される」等の文言は、その文言だけで排他的な意味に決まるのではなく、明細書記載の課題・技術的意義との関係で解釈される。 • 複数の部材からなる発明では、発明全体を一括して見るだけでなく、各部材について実施可能性を検討する。 (中略) • クレームの極端な端部
東京地判令和5年(ワ)70402【サイフォン雨樋システム】<中島裁判長>
東京地判令和5年(ワ)70402【サイフォン雨樋システム】<中島裁判長> *進歩性〇 乙A25発明と乙A26発明は、技術的アプローチが真逆(前者は乱流発生・後者は乱流防止)で動機付けを欠く。 乙A21発明(通常排水)と乙A25発明(サイフォン式)は技術的思想を異にし、組合せの動機付けがない。 ⇒引用発明(乙A21発明)が流量係数「0.6」という設計上の指標から「従来型の排水システム」と認定し、サイフォン式排水システムとは技術的思想を異にすると判断した。 <共同不法行為に基づく損害額> 被告らは、幇助したにすぎず「侵害した者」に当たらないため、被告らが部材販売により得た利益は特許法102条2項の「利益」に含まれない。 https://lnkd.in/gPpdpynT https://lnkd.in/gMwaFDcX 平成17年(ワ)779号根抵当権設定登記抹消登記手続請求事件 — courts.go.jp LinkedIn原文:https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:7510
令和7年(行ケ)10037【断面画像検出装置】<長谷川裁判長>
令和7年(行ケ)10037【断面画像検出装置】<長谷川裁判長> *進歩性× <進歩性(①発明の要旨認定)> 『原告の主張する本件発明1の構成における「歯科人工物の画像オブジェクトの軸を含む画像」及び「歯科人工物の画像オブジェクトの軸」は、いずれも特許請求の範囲に記載されたものではないから、そのような事項に基づいて本件発明1の特定事項を認定し、甲1発明と構成の対比を行うことは許されない。』 <進歩性(②容易の容易)> 『相違点1-6に関して甲1発明から本件発明1に至るには、チタン製マーカの仮想的マーカを歯科用インプラントの画像オブジェクトに変更し、さらに、当該歯科用インプラント長軸を中心に、軸周りに回転させることができることが必要になるところ、このように主引用発明(甲1発明)から複数の段階を経て当該相違点に係る構成に想到することについて、当業者が格別の努力を要することなく容易に遂行し得たと認めるに足りる証拠はない。』 『両画像オブジェクトは、歯科用インプラント施術時の人工歯根の顎骨に対する挿入位置を模擬する画像オブジェクトとして共通するとしても、前